労災保険の手引
by Tobuki
過労死の原因とされるケースもある脳・心臓疾患については、認定基準(H13.12.12基発第1063号)が定められています。以下は、その一部を抜粋したものです。
脳血管疾患及び虚血性心疾患等(負傷に起因するものを除く。以下「脳・心臓疾患」という。)は、その発症の基礎となる動脈硬化等による血管病変又は動脈瘤、心筋変性等の基礎的病態(以下「血管病変等」という。)が長い年月の生活の営みの中で形成され、それが徐々に進行し、増悪するといった自然経過をたどり発症に至るものとされている。
しかしながら、業務による明らかな過重負荷が加わることによって、血管病変等がその自然経過を超えて著しく増悪し、脳・心臓疾患が発症する場合があり、そのような経過をたどり発症した脳・心臓疾患は、その発症に当たって、業務が相対的に有力な原因であると判断し、業務に起因することの明らかな疾病として取り扱うものである。
このような脳・心臓疾患の発症に影響を及ぼす業務による明らかな過重負荷として、発症に近接した時期における負荷のほか、長期間にわたる疲労の蓄積も考慮することとした。
また、業務の過重性の評価に当たっては、労働時間、勤務形態、作業環境、精神的緊張の状態等を具体的かつ客観的に把握、検討し、総合的に判断する必要がある。
1.脳血管疾患
(1)脳内出血(脳出血) (2)くも膜下出血 (3)脳梗塞 (4)高血圧性脳症
2.虚血性心疾患等
(1)心筋梗塞 (2)狭心症 (3)心停止(心臓性突然死を含む。) (4)解離性大動脈瘤
次のいずれかの業務による明らかな過重負荷を受けたことにより発症した脳・心臓疾患は、労働基準法施行規則別表第1の2第9号(その他業務に起因することに明らかな疾病)に該当する疾患として取り扱う。
※過重負荷とは、医学経験則に照らして、脳・心臓疾患の発症の基礎となる血管病変等をその自然経過を超えて急激に著しく増悪させ得ることが客観的に認められる負荷をいい、業務による明らかな過重負荷として認められるものとして「異常な出来事」、「短期間の過重業務」、「長期間の過重業務」に区分し、認定要件としたものである。
(2005.9.5)
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