労災保険の手引
by Tobuki
労災保険は、業務上の事由または通勤による事故に対する給付を行います。
健康保険法第1条(目的)
この法律は、労働者の業務外の事由による疾病、負傷若しくは死亡又は出産及びその被扶養者の疾病、負傷、死亡又は出産に関して保険給付を行い、もって国民の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とする。
業務上の事故に関する給付については、健康保険の対象にはなりません。また、
健康保険法第55条(他の法令による保険給付との調整)
被保険者に係る療養の給付又は入院時食事療養費、特定療養費、療養費、訪問看護療養費、移送費、傷病手当金若しくは埋葬料の支給は、同一の疾病、負傷又は死亡について、労働者災害補償保険法(昭和22年法律第50号)、国家公務員災害補償法(昭和26年法律第191号。他の法律において準用し、又は例による場合を含む。)又は地方公務員災害補償法(昭和42年法律第121号)若しくは同法に基づく条例の規定によりこれらに相当する給付を受けることができる場合には、行わない。
とありますので、健康保険は、通勤に関する給付についても原則として行いません。
労災保険は労働者に関する制度であり、健康保険は業務外の事由に関する制度であるため、事業主の業務上の事故については保険が使えないことになってしまいますが、一定の場合には、健康保険を使用することができます。
健康保険の被保険者が5人未満である適用事業所に所属する法人の代表者等であって、一般の従業員と著しく異ならないような労務に従事している者については、その者の業務遂行の過程において業務に起因して生じた傷病に関しても、健康保険による保険給付の対象とすること。(H15.7.1保発第0701002号)
国民健康保険については、業務上の事故を排除していませんが、
国民健康保険法第55条(他の法令による医療に関する給付との調整)
療養の給付又は入院時食事療養費、特定療養費、訪問看護療養費、特別療養費若しくは移送費の支給は、被保険者の当該疾病又は負傷につき、健康保険法、船員保険法、国家公務員共済組合法(他の法律において準用し、又は例による場合を含む。)若しくは地方公務員等共済組合法の規定によつて、医療に関する給付を受けることができる場合又は介護保険法の規定によつて、それぞれの給付に相当する給付を受けることができる場合には、行わない。労働基準法(昭和22年法律第49号)の規定による療養補償、労働者災害補償保険法(昭和22年法律第50号)の規定による療養補償給付若しくは療養給付、国家公務員災害補償法(昭和26年法律第191号。他の法律において準用する場合を含む。)の規定による療養補償、地方公務員災害補償法(昭和42年法律第121号)若しくは同法に基づく条例の規定による療養補償その他政令で定める法令による医療に関する給付を受けることができるとき、又はこれらの法令以外の法令により国若しくは地方公共団体の負担において医療に関する給付が行われたときも、同様とする。
という規定により、労災保険が優先すると定めています。
(2005.9.5)
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