団体交渉

労働組合の作り方

by Tobuki

団体交渉に際しては、交渉日時、場所、出席者、交渉事項等について、労使で事前に取り決めておくことが望まれます。このようなルールがないと、実質的な交渉に入る前に交渉の手続きの問題をめぐって争いになり、貴重な時間を費やすことになりがちです。やみくもに集団で社長室に押しかければよいというものではありませんし、交渉相手を無視したり、課題から離れた議論に終始したり、誹謗中傷などは厳に慎むべきです。特に、組合の結成直後は労使ともに不慣れであるため、団体交渉に臨む態度は、冷静に、相手の理解を求めることが大切です。使用者は、正当な理由がなくては、団体交渉を拒否できません。ただし、最終的に交渉の妥結に至る義務はありません。結果として交渉の打ち切りとなることもあり得ます。

神谷商事(労働組合東京ユニオン)事件 東京高裁 H15.10.29 東京地裁 H15.6.16
8年半もの長期にわたる本件団体交渉拒否は、労働組合法7条2号の不当労働行為にあたるだけでなく、不法行為をも構成する。会社の組合に対 する損害額は100万円が相当である。組合は労働条件改善に貢献する機会を奪われ、過去14年分の賃金等について使用者側の提案を丸飲みせざるを得なくなり、組合員の信頼に応えられなくなるなど、その信用、社会的評価の低下に直面し、無形の損害を被った。

中労委(日本アイ・ビー・エム)事件 東京地裁 H14.2.27
組合が団体交渉の席上、給与レンジ、メリット昇給表等の開示を要求し、使用者がこれを拒否した。これが不当労働行為に当たるかが、争われた。

(東京地労委命令 H6.4.19)
使用者は給与レンジ等を提示し、十分説明しなくてはならない旨の救済命令を出した。

(中労委命令 H10.8.5)
使用者が労働組合の資料提示要求に応じられない場合には、応じられない理由を誠実に説明しなければならないとの命令を出した。

(東京地裁の判断)
資料が提示できない合理的な理由を具体的に述べれば、誠実交渉義務違反とまではいえない。 使用者は労働組合に対し、常に制度の公開あるいはこれに関連する資料の提示をしなければならないものではなく、労働組合が賃金その他の労働条件に関する具体的な要求をすることなく、合意を求める努力もしないまま、単に賃金制度に関する資料の提示を求めているような場合には、資料を提示せず、資料を提示できない合理的な理由を述べれば、誠実交渉義務違反とまではいえない。 逆に労働組合が相当具体的な要求をし、それに関連して賃金制度に関する資料の提示が賃金交渉において不可欠である場合には、資料を提示しなければ誠実交渉義務違反となる。

中労委(セメダイン・上告)事件 最高裁 H13.6.14 東京高裁 H12.2.9 東京地裁 H11.6.9
会社には一般従業員による労働組合と、管理職組合があった。管理職組合は、56歳以上の者に対する資格手当減額措置の廃止、スタッフ管理職手当の新設を求めた。会社はこの団交を拒否。東京都地労委、中労委は「管理職組合」に対する団交応諾を命じたが、会社はこの救済命令の取り消しを求めた。

(一審の判断)
利益代表者が参加する労組も労組法第7条の「労働者の代表」に含まれる。団体交渉を拒否する特別な事情を明らかにしないまま団交拒否することは、正当な理由を欠くものといわざるをえない。

(二審の判断)
一審を支持

(最高裁の判断)
最高裁もこの会社側の上告を棄却した。

東北測量事件 最高裁 H6.6.13 仙台高裁 H4.12.28

(高裁の判断)
使用者がゼロ回答に終始して組合に提供すべき経理資料を提出せず、必要な具体的な説明を拒否しているのは不当労働行為である。

(最高裁の判断)
高裁を維持

亮正会高津中央病院事件 東京地裁 H2.9.27
いったんは合意に至った後に、労働組合が受け入れ難い新提案を付加することは、誠意を欠く。

カール・ツァイス事件 東京地裁 H1.9.22 東京地労委命令 S62.9.1
組合結成した従業員らは、ユニオンショップ協定・唯一交渉団体の承認・組合への便宜供与などを内容とする基本要求を会社に示し、団体交渉を求め、協定(一部)は締結された。その後、労使は交渉を続けたが、会社は組合執行委員の人事異動などについても、協議意思がない旨の意思表示をし、交渉に応じなくなった。

(裁判所の判断)
使用者は、自己の主張を相手が理解し、納得することを目指して、誠意をもって団体交渉にあたらなければならず、労働組合の要求や主張に対する回答や自己の主張の根拠を具体的に説明したり、必要な資料を提示するなどし、また、結局において労働組合の要求に対し譲歩することができないとしても、その論拠を示して反論するなどの努力をすべき義務があるのであって、合意を求める労働組合の努力に対しては、右のような誠実な対応を通じて合意達成の可能性を模索する義務があるものと解すべきである。人事異動に関する事前協議や同意約款の締結要求が過大であるとするなら社会一般あるいは業界などの実例を踏まえつつその非を問うなどの努力をする必要がある。・・・人事に関する事項が労働条件その他の待遇に関する事項であり、義務的団体交渉事項であると解すべきであることも考えると、会社の権利であるとか組合から何も言われる筋合いではないという会社の対応は、合理性を欠く。

太陽社事件 神奈川地労委 S36.3.31
従業員50人程度の印刷会社において、大多数は従業員組合に加入していたが、一部の者は別の合同労組に加入していた。年末手当の支給等について、従組と妥結したものの、合同労組加入者は納得せず、別途団交が申し入れられた。会社は、団交を要求するならば、組合員名簿の提出を求めるとした。労組側は、これを団交拒否として、神奈川県地労委に救済を申し立てた。

(地労委命令)
誰が組合員かが明白にならないと、会社としても判断が難しいことは認められるが、これをもって、直ちに団体交渉を拒否することができるとは言い難い。とはいうものの、会社の団交拒否については、少数組合だから交渉の必要がないといういう理由に尽きるので、こうした理由で団体交渉を拒否することが認め得るなら、少数組合には団体交渉権がないという結果になる。このため、団交拒否は認めがたい。

(2008.4.12)

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