労働組合の作り方
by Tobuki
正当な組合活動による不利益取扱いは禁止されています。労働組合法は、使用者が行ってはならない行為を不当労働行為として禁止しています(労働組合法第7条)。主な不当労働行為には次のようなものがあります。
労働者が、
を理由として、その労働者を解雇したり、その者に不利になる取扱いをしたりすることをいいます。不利益な取扱の種類・態様はさまざまであり、法律行為、事実行為(懲戒、解雇、配転、出向、転籍、昇給させない、仕事を与えない、残業をさせないなそ)であると否とを問いません。組合活動家を昇進により組合員資格を失わせる行為についても、組合活動上の不利益な取扱となるというのが通説です。
労働組合に加入しないことなどを採用の条件にすること(黄犬契約と呼ばれる)も禁止されています。組合脱退の勧奨(朝日放送事件 東京地裁 H2.7.19)や、組合加入状況を調査すること(オリエンタルモーター事件 東京高裁 H2.11.21)も、許されません。
使用者が正当な理由なしに団体交渉を拒否することです。何が正当な理由であるかは、交渉の対象事項、交渉担当者、交渉の手続きなどの具体的な事業に即して判断されます。
支配介入には次の場合があります。
支配人・部課長・支店長・工場長など上級管理職の行為は、使用者の明確な支持や連絡によるものでなくても、使用者の行為とみなされます。行為者に支配介入だという認識がなくても、不当労働行為とされる場合があります。下級職制が労働組合の結成に介入する行為等を行ったときに、上位者が注意せずに放置したか、これを是正するような措置を行ったかによっても、不当労働行為かどうかの分かれ道になります(シェル石油事件 最高裁 S59.11.26)。また、判例によっては、別の解雇理由があることは認めつつも、使用者の一連の行為から、不当労働行為意思による解雇だと認められた事例もあります。
不当労働行為となる労働組合の運営のための経費援助とは、組合専従者の給料(安田生命保険事件 東京地裁 H4.5.29)、組合大会等の諸経費・旅費・その他労働組合の諸活動に必要なあらゆる経費をいいます。ただし、次のものについては特に経費援助に入らないとされています。
どの範囲の従業員を組合員とするかは、労働組合が自主的に決めるものです。労働組合法第2条には、使用者の利益代表を除外すべきとの規定がありますが、それが明確に利益代表とならない限り、これを排除するように会社側が働きかければ、不当労働行為に該当することになります。
上部団体への加入は本来自由です。しかし、使用者は、組合活動が外部から影響を受けることを認めたがりません。このため「企業秘密が漏れる」と主張して、加入を思い止まらせようとしますが、それは理由にならず、不当労働行為とされます。
不当労働行為が行われたときは、労働委員会へ救済の申し立てを行うことができます。労働委員会が不当労働行為の事実を認めたときは、使用者に対して、不当労働行為がなかった状態に戻すようにとの、命令が出されます。
(2008.4.12)
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